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創業以来 “エンジニアが働きやすい環境の追求” を掲げるITスタートアップ「K. S. ロジャース」の魅力とは

創業以来 “エンジニアが働きやすい環境の追求” を掲げるITスタートアップ「K. S. ロジャース」の魅力とは

フルリモート、フルフレックス、副業可能…  自由な働き方、実力主義で人材を呼び込み、地方活性化を目指す

2020.07.14

フルリモート、フルフレックス、副業可能…。創業以来「エンジニアが働きやすい環境の追求」を掲げるITスタートアップ「K.S.ロジャース」が、新しい働き方を実践している。
神戸に本社所在地を置きながら、社員間のやり取りはオンライン中心のため、神戸市在住は代表取締役CEOの民輪一博さんただ1人。エンジニアは東京に集中する傾向があるが、この働き方は勤務地を問わないため、好きな場所での仕事が可能だ。
「このスタイルを普及させて地方活性化につなげたい」と民輪氏。働き方改革に加え、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが一気に広がるいま、大きな注目が集まっている。

エンジニアファースト 自由な働き方のスタイル

「事業創りに寄り添うエンジニア集団」「自由で自立したワークスタイルを実践」「厳選されたエンジニアから成るチーム」を標榜する「K.S.ロジャース」。スタートアップスタジオ事業を進めている。具体的には、スタートアップ、ベンチャー企業、大手企業を顧客に、事業計画策定や営業、組織づくりなど、CTO的ポジションからのコンサルを行う事業と、もう一つがプロダクト制作の事業だ。スタートアップへの投資も行っている。

創業者の民輪氏は、京都大学大学院在学中に、大手VCから出資を受けてベンチャーを立ち上げ、CTOとして参画した。その後事業を売却し、2社目の立ち上げを経て、2017年12月に3社目となるK.S.ロジャースを設立した。

コアタイムなしのフルフレックス、フルリモートワーク、正社員と業務委託など雇用形態の切り替え自由、副業自由…。これらをパッケージとして採用する企業はほとんどない。
なぜ、このような自由な働き方を取り入れたのか。

民輪氏いわく、地方でエンジニアが活躍できる機会をつくりたかったからだという。
エンジニアは、賃金も高く、レベルアップ、スキルアップにつながる仕事も多い東京に集中する。ここが課題だ。「(東京と比べて)関西でベンチャーをやっていると人材採用がより難しい。 振り切るしかなかった」
民輪氏の実家は、長田区で銭湯を営む。自らも、子どものころから夜型生活を送ることも多かったという。「(毎朝定時に出勤する)サラリーマンをしたくなく、東京に住みたくなかったのも理由の一つ」と説明する。

(左) K.S.ロジャース 代表取締役CEO 民輪一博氏

ベルリン在住、旅先で仕事も

従業員は現在、約70人にまで増えた。そのうち85%ほどは首都圏に住み、ベルリン在住の社員もいる。職種は、エンジニアとデータアナリストが大半で、平均年齢は30歳未満。最高齢は40歳という。
社員の働く場所は自宅やカフェなど。オフィスはなく、旅先で仕事をする人もいる。就業時間は0―24時。始業時間も決まっておらず、早い人で午前6時、遅い人では午後6時。業務時間はタイムカードで管理しているが、自己申告制だ。

「性善説に任せている。そうしないと、こういうワークスタイルは成り立たない。(ほかの会社で聞くことがある)1時間に1回上司に報告、などは成り立たない。タイムマネジメントはしたくない」

社員間のやりとりは原則オンラインで行い、普段、リアルに顔を合わせる機会がないため、社員向けのコンテンツを重視している。
年に一度、社員旅行を企画し、昨年は十数人が参加した。社内向けのゲーム部も企画。
「コンテンツ的に面白いことをやろうとしている。内部向けを重要視。競争優位性につながるから」と、今後も社員が楽しめる仕掛けを考えていく。

DMM元CTO城倉和孝氏が参画

副業も雇用形態も自由だ。
経営幹部自らが副業するケースもある。
幹部曰く「副業して初めてレベルアップに気付いた。身に付けたノウハウが他社で通用するか不安だったが、逆に自信を深めることができた」という。
また、有名企業のエンジニアが、業務委託という形態で同社に在籍している。その筆頭が、2020年4月にアンバサダーとして参画した、元DMMのCTOである城倉和孝氏だ。
民輪氏とはCTO仲間を通じ知り合った。エンジニア育成で、豊富な経験、知見を持つ城倉氏のサポートを受け、人材の組織力、開発体制の強化を目指す。
城倉氏は「新しい働き方を前提にデザインされた会社で、先駆的なノウハウをたくさん持っている。私の経験を活かしながら、エンジニア育成のノウハウを体系化し、日本全国に展開したい」と抱負を語る。

(右) 元DMM CTO 城倉和孝氏

競争率20〜25倍

自由な働き方、エンジニアファーストの企業理念が支持され、同社は採用面で非常に高い人気を誇る。

2019年は700人、2020年は700-1000人の応募があり、競争率は20〜25倍程度だという。
「これでも採用を抑えているほど。ミッションビジョンが刺さったからだろう」と民輪氏。そのミッションビジョンは「エンジニアのための集合体の企業」と題し、これらの項目が並ぶ。

「最も自由でパフォーマンスを発揮できる世界を実現します」
「全てのエンジニアの働き方を豊かにします」

目指すのは、単なる技術者ではなく、技術的な知見から事業全体の健全なサイクルを創出する外部CTOで、事業の成功にコミットする存在だ。

UIJ関連事業にも参画

2020年には、神戸市が主催する「Urban Innovation JAPAN(UIJ)」の関連事業である「STOP COVID-19 × #Technology」に参画し、新型コロナ感染症に対する情報提供サイトを構築した。

UIJについては、神戸市民として注目していたという。
「スタートアップと市の職員のギャップを埋めるのはまだまだ時間がかかるのではないか。(ガバメントとテクノロジーを掛け合わせた)ガブテックは市場として伸びる。どれだけ行政のマインドを変えることができるだろうか」とみていた。

そんな矢先に訪れた参画のチャンス。「広報戦略的に、社会貢献的に、しっかりやりましょうということで参加した。制作期間はわずかしかなかったのでリリースした製品には決して満足はしていないが、スピード感は出せた」。今後新たな戦略も見据えながら、関わり方を模索する。

テレワーク普及させ地方活性化を

コロナ禍、社会的に一気に進んだテレワーク。先駆者として、同社のスタイルに注目が集まる。
「リモートワークはスキル。どの企業も1、2ヶ月なら回るが、それを超えると、人事異動などもあり、続けていくのは難しい。大手はなおさらだろう」

2020年6月、同社は培ったノウハウを事業として中小企業をサポートするコンサルティングサービス「Stream」を始めた。
「サポートすることで、顧客の生の声も聞け、サービス改良に生かせる」とする。
「まだまだITは東京一極集中で、この傾向はアフターコロナでもすぐには解消されないだろう。リモートワークを推進することは、東京でもそうだが特に地方にいながら、ITに携わることが実現できる方法だ。地方でエンジニアとして面白い仕事をする知見やノウハウは、地方で新しい事業やビジネスを立ち上げていく助けとなり、長期的には地方活性化に繋がる」と民輪氏は力説する。

新しい働き方で、地方活性化、地域貢献を実現するー。同社の挑戦は始まったばかりだ。

<K.S.ロジャース株式会社>
設立: 2017年12月
代表取締役社長: 民輪 一博
事業内容:
・新規事業立ち上げ支援
・社内開発チーム構築支援
・ITコンサルティング
所在地:
所在地はあえて非公開です。お問い合わせください。
公式HP:https://ks-rogers.co.jp/

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