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アジア初! 国連によるSDGs課題解決拠点が神戸に誕生!

アジア初! 国連によるSDGs課題解決拠点が神戸に誕生!

UNOPS GIC Japanが目指すものとは?

2020.12.07

国内外のスタートアップが集積し、持続可能な開発目標(SDGs)の課題解決に貢献する新しい製品やサービスの創出を行うことを目的とした国連のインキュベーション施設「UNOPS GIC」が、世界で3拠点目、アジアでは初の拠点として兵庫県神戸市に設立されました。

本施設のオープニングイベントの様子に加えて、イベント後にUNOPSイノベーション・スペシャリストを務める杉迫氏にインタビューを実施しました。

2020年11月6日、国連プロジェクトサービス機関「UNOPS」(ユノップス)が、神戸市のSMBC神戸本部ビル2階でグローバル・イノベーション・センター・ジャパン(GIC Japan)開設を記念して、オープニングイベントを行いました。

コロナウイルスの感染防止のため、参加者の多くはオンラインでの視聴となりました。

オープニング式典は、国連プロジェクトサービス機関のヨナス・スヴェンソン氏(UNOPSグローバル・イノベーション部門及びテクノロジー部門代表)、国連のグレテ・ファレモ事務次長兼UNOPS事務局長からのビデオメッセージ、そして兵庫県の井戸知事、神戸市の久元市長、三井住友銀行の宮田会長など関係者の挨拶からスタート。

UNOPSグローバル・イノベーション部門及びテクノロジー部門代表 ヨナス・スヴェンソン氏

また、UNOPSグローバルメンバーであるソニー株式会社 Startup Acceleration 部門 副部門長 兼 Open Innovation & Collaboration部 統括部長の小田島氏から、UNOPSとソニーが今後どのような取り組みをしていくのかが語られました。

「ソニーでは”あらゆる人に起業の機会を。”というスローガンをもとにスタートアップの創出と事業運営を支援するSony Startup Acceleration Program(以下SSAP)を2014年から実施しています。」

ソニーの社内起業用の仕組みとしてはじめたプログラムがうまくいったため、社外でもSSAPのノウハウを提供していきたいと小田島氏は続けます。

「やる気のある人をいかに早くピックアップし、その人をいかに早く社会に実装していくかがSSAPの大事なミッション。みんなで社会を変えていくことができれば」という言葉でオープニングイベントの最後が締めくくられました。

UNOPS GIC Japan 杉迫直子氏へインタビュー

イベント後に改めて、神戸市役所から出向し、現在UNOPSイノベーション・スペシャリストを務める杉迫氏に、これまでの経緯や今後の展開について聞きました。

UNOPS GIC Japan イノベーション・スペシャリスト 杉迫直子氏

「ソニーの小田島副部門長がデンマークにあるUNOPSの本部を訪問した際、グレテ事務局長やヨナスと議論を深めたことで、グローバルイノベーションチャレンジというスタートアップ育成事業が立ち上がりました。ちょうど2019年、2020年と、世界各地で台風等による自然災害が多かったこともあり、初年度のテーマはテクノロジーを活用した気候変動への対処とすることになりました。」

そして2020年4月からプログラムに参加する企業の募集を開始したところ、98カ国から624件の応募があり、最終的には「農業、廃棄物管理、エネルギー、水資源など日本にいるだけでは思いつかないような革新的なビジネスアイデアの応募があり、25件が最終選考に残った」と語ります。

オープニングイベントの3日前からブートキャンプと呼ばれる事業ブラッシュアップのための短期集中プログラムを実施し、濃密な時間を過ごしました。審査員の方たちも悩んだ末に、最終的に5社が選ばれました。」

ブートキャンプ後の集合写真

▼採択されたのは農業や災害対策、環境汚染関係に取り組む以下の5社(国名)
USHER Technologies (フィリピン)
SAgri (日本)
Kivu Cold Group (日本/ルワンダ)
・Non-polluting Textile Dyeing (中国)
Green Science Alliance (日本)

選ばれた5社は、今後12ヶ月の間、SDGsの達成に必要な現場の課題を解決すべく、その企業にあったテーラーメイドの支援プログラムを受けながら、ビジネスアイデアの事業化支援に向けた取り組みを行っていく予定です。

「今後、個別に入居企業とヒアリングを重ね、具体的には、途上国にあるUNOPSの現地事務所等と連携したビジネスアイデアの具体化・検証に関する支援や、新興国市場への参入支援、資金調達の支援などに取り組んでいきたい。UNOPSのネットワークだけでなく、協業するソニーやGIC Japanとイノベーション拠点を併設する三井住友銀行、起業プラザひょうごなどにもご協力いただきながら展開していきたい」と杉迫氏は話します。

また、そもそもGICがアジアの拠点として日本に開設した意味は、日本の企業がもっている技術や知見をいかしていきたいという背景があると付け加えます。今後、関心をもった企業はどのように関わっていけばいいのでしょうか。

「ソニーは、UNOPSとイノベーション領域における協業契約を締結した世界初の企業であり、そのような大きな枠組みで関わってくださるグローバル企業ともこれから協力関係を築いていきたいですが、ほかにもSDGsとビジネスの実践に取り組もうとされている企業や大学、地域の中小企業にも関わっていだけるように、SDGsなどの定期的なイベントやセミナーをこの場所(UNOPS GIC Japan)で開催しながら、ビジネスの先駆者に登壇していただいたり、マッチングやネットワークの機会をつくったりしていきたいと考えています。」

また、UNOPS自体はインフラやヘルスケア、エネルギー分野に力を入れており、親和性が高い企業とも連携できればと語りました。

現在、UNOPS GIC Japanのもとには兵庫県の自治体、企業、大学、NPOだけでなく、大阪など、ほかの地域からも「何かいっしょにやりましょう」という声がたくさん届いているといいます。

国連調達は年間2兆円規模※にもなり、大きなビジネスチャンスでもあります。国連調達への参画には厳しい一面はあるものの、GICではスタートアップのビジネスアイデアの事業化支援の一環として、実証事業を支援して、国連調達の足掛かりとしていく道を模索していく予定です。今後ますます新たな展開が生まれそうです。

※ 国連は,途上国の支援等に物品・サービスを世界各国の企業から購入しており,国連システム全体(40機関)の調達規模は約2兆円規模に上ります。調達対象は,輸送サービス,自動車,簡易住宅,食糧,医療機器,医薬品,建設機材,IT等,多岐にわたります。
引用:外務省HPより(https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page22_001871.html)

❏国内向けのイベント情報は、一部起業プラザひょうごウェブサイトにも掲載します。
https://www.kigyoplaza-hyogo.jp/event/

杉迫直子氏とヨナス・スヴェンソン氏

UNOPS GIC Japan
神戸市中央区浪花町56
三井住友銀行神戸本部ビル2階

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