インタビュー

トップページ > インタビュー > 株式会社ダイセキ

株式会社ダイセキ

株式会社ダイセキ

職場環境の改善、新たな業界への参入
「神戸だからできること」を実現

2020.11.10

株式会社ダイセキ代表取締役社長坂本 征紀 氏

三宮~神戸(オフィス)

創業以来、確かな技術力と信頼で日本のものづくり産業を支えてきた株式会社ダイセキ。明石から神戸に本社を移して良かったことや、今後のビジョンなどを、代表取締役社長 坂本征紀さんに聞きました。

仕事場風景

優れた設計者たちが積み重ねてきた信頼

当社は1978年に兵庫県明石市で創業した機械設計会社です。仕事内容は大きく分けて2本柱となっており、一つは自動車や半導体産業をはじめとするFA設備(ロボット活用含む)の設計を担う「設備設計」分野と、もう一つは意匠を踏まえた自動車部品、駆動源が含まれる医療機器等、幅広い業界の製品開発を担う「製品設計」分野です。お取引先は創業時からお付き合いのある川崎重工業をはじめ、パナソニックグループ、神戸製鋼グループ、アイシングループなど多岐にわたっており、目前のお客様の設計面での困り事を地道に解決することにより信頼を重ねてきました。2015年より機械部品大手であるミスミグループの一員となってからは、これまでの堅実さに加えて“攻め”の姿勢も加わり、より多くのお客様にお声掛けいただくようになって事業が急速に拡大しました。

移転の決め手は神戸市の補助金制度

仕事の効率向上を目的に、明石本社と大阪事業所を統合して神戸本社を開設したのは2017年です。神戸・三ノ宮にある神戸商工貿易センタービルに新たにオフィスを構えました。お客様にアクセスしやすく、社員の通勤のしやすさも考慮して場所を探し、最初から有力候補地としてあがっていたのが神戸でした。最終的に背中を押されたのは神戸市の補助金制度です。内容を拝見すると、思った以上に手厚い。2、3年のうちに移転できればいいかなと悠長に構えていたのですが、こんなにありがたい制度があるなら一気に進めてしまおう、となったのです。結果的には補助金の効果により引っ越し代が丸々吸収でき、更には従前の2拠点分の家賃よりも今の方が安くなったことにより年間を通しての費用増が発生しなかったのは大変ありがたかったです。

神戸移転により職場環境の改善と商圏拡大を実現

機械設計は集中力を要する仕事であるため、ずっと画面とにらめっこをしていると知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまいます。そのため働く環境を重視している設計者が非常に多く、人員募集をする際は職場のハード面の整備に気を配っている会社であるということが応募者に響く重要な要素の一つでもあります。その点、ダイセキオフィスは16階にあるのですが、北側は六甲の山々、東側と南側は神戸港を見渡せる絶好のロケーションです。仕事に集中した後のちょっとした休憩時間に絶景が眺められるのは設計者にとってこの上ない癒しになっており、社員からも大好評です。

また、神戸移転をきっかけに働き方に関わる諸制度も見直しました。フレックス導入に加えて、活発な社内交流が生まれるよう座席をフリーアドレス制にしたことでより働きやすい職場環境が整ったと思います。

神戸に来てからは、交通の便の良さも実感しています。空港や新幹線に直ぐにアクセスできることはビジネスをする上でやはり大きなアドバンテージとなっており、明石に本社があったころには行きづらかった関東や名古屋方面のエリアへもフットワーク軽く訪問できて新たなお客様からの受注が拡大しています。順調に商圏が広がっているのは、神戸に移転したからこそだと感じます。

コロナ禍での気づきを成長の糧としたい

おかげさまでここ数年、業績、社員数ともに大きく伸びていてお客様に確実に貢献できているという手ごたえを感じていましたが、今年のコロナ禍において非常事態宣言が発出された5月前後は仕事量が一時的に大きく減りました。幸い、これまで各現場の社員一人一人が築いてきたお客様との信頼関係のおかげで非常事態宣言が明けてからは受注が回復して大きな痛手とはならなかったものの、従来の仕事の進め方を見直す良い転換期となっています。コロナ以前は間接的な取引も含めると自動車業界に頼るところが大きかったのですが、今後は既存のお取引先に加えて将来成長が見込める業界へも積極的にアプローチしていきたいと考えています。その一つが医療機器の分野です。川崎重工業とシスメックスの合弁会社として設立されたメディカロイドには、2015年からお引き合いをいただき、国産初の手術支援ロボット「hinotoriTM サージカルロボットシステム」に深く関わらせていただきました。特に執刀医が手や足で操作する「サージョンコックピット」では技術支援業務を通じて設計開発に貢献させて頂きました。

手術支援ロボット「hinotoriTM サージカルロボットシステム」
(出所:メディカロイド)

医療は神戸市も長年にわたって力を注いでいる分野です。メディカロイドとのお仕事から得た経験値、設計力を糧に、今般のコロナ禍を踏まえて今後より一層、神戸という地の利を活かして医療機器業界へ参入していきたいと考えています。

神戸はイノベーションが生まれやすい風土

コロナの影響で、都心から地方への移転を考えている企業が増えていると聞きます。中には神戸を候補地としている会社もあるでしょう。私は少年時代も含めると長年神戸に住んでいますが、暮らしていて魅力的だと感じるのは、長い歴史の中で培われた異業種や異文化の交流を図る土壌がいたる所に根付いている点です。身近な例だと、たとえば公園でダンスイベントをしている場にふらっと立ち寄るとその隣で地元の野菜が販売されていて思わず買ってみたらおいしかった、という体験や、和食店にご飯を食べに行ったらジャズの生演奏が急に始まったといった「驚きを含んだプラスの経験」が日常的に起こっています。これは単に賑やかな街といった話ではなく、イノベーションの観点だと思うのです。異業種が交流してさらなる新しい価値を生んでいく土壌が、すでに神戸にはあるのではないかと。それはビジネスシーンにおいても感じます。神戸市主催の異業種交流の場が頻繁に開かれていますし、ロボットと医療の会社が互いの強みを活かして創った先述のメディカロイド社の手術支援ロボットもイノベーションの好事例ではないでしょうか。機械設計は昔ながらの産業であり、ものづくりが存在する限りは必要不可欠な分野だと考えていますが、時代の変化に応じて臨機応変に形を変えていくことが求められると危機意識を持っています。常に必要とされるためには、お客様に新たな付加価値を生んで貢献していくことが、何より大切だと思います。

当社も神戸に本社を置く企業として、機械設計を核にイノベーションを起こしながら地域の期待に応えていきたいと考えています。さまざまな業種の活気がある会社が神戸に集まると相乗効果で仕事の幅が広がります。当社がお役に立てることがあれば、ぜひ声をかけていただき、共に神戸や関西を盛り上げていきたいですね。

株式会社ダイセキの方々と神戸市担当職員
株式会社ダイセキ

株式会社ダイセキ

設立 1978年
事業内容 機械設計(設備/製品)、製作
所在地
■神戸本社/兵庫県神戸市中央区浜辺通5丁目1番14号神戸商工貿易センタービル16階
■東京事業所/東京都文京区後楽二丁目5番1号 飯田橋ファーストビル(ミスミ本社内)
■名古屋事業所/愛知県名古屋市名東区明が丘124-2 Ami ami annex2F(ミスミオフィス内)

URL  https://www.dai-seki.co.jp/

インタビュー一覧を見る